都市圏近郊用電車のスタンダードとして量産され
東海道を中心に中距離輸送に活躍してきた
登場:1963年
在籍:

  記載内容は2020年3月現在。
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 写真写りの悪い電車

  113系はデビューからはすでに半世紀が経過。濃緑とオレンジのツートンカラーは「湘南色」と呼ばれ、この2色はそれぞれJR東日本とJR東海のイメージカラーともなっています。地方色が全国を席巻した今でもこの配色は根強く残っており、国鉄〜JRにとって思い入れの強いカラーリングなのでしょう。

  関西でも長らく東海道・山陽線でこの配色で走っていましたが、紀勢線・関西本線などではこれと別の色も採用されました。JR化後はさらにバリエーションが増えています。

大阪〜奈良直通の関西線快速 

  上の写真は関西本線に使用されていた車両で、のちの221系「大和路快速」のルーツとなりました。113系は関西線からは早々に姿を消し、この塗色は現存しません。

  さて、この電車は私にとって、非常に「写真写りの悪い電車」でした。小学4〜6年のころ、私は神戸や大阪などに出かけては、おんぼろポケットカメラ(父が通販で買ったもので、フラッシュも壊れて作動しなかった)を恥ずかしげもなく持ち歩いて、電車の写真を撮っていました。身近な車両から珍しい車両まで、目に付いたものは片っ端から・・・。そのころ撮りためた写真の一部が、このHPの素材にもなっています。ところが・・・。

  そのころ、どうしてもうまく撮ることのできなかったのが、この113系、特に湘南色の電車だったのです。同じ条件で撮っているはずなのに、ほかはそこそこきれいに(と言ってもカメラがカメラだけに限度がありましたが)写っていても、113系だけはピンボケしたり、ぶれていたり、フレームにうまく収まっていなかったり、指が入ったり・・・。走っている電車でも止まっている電車でも同じ。ありふれた電車だからという油断もあったのかも知れませんが、それにしてもひどい。何枚フイルムを無駄にしたことか。

  下の写真(中学2年時に撮影)が、初めてまともに写ったものです。以後は113系だけがうまく写らないということはなく、どうして当時はこの電車だけがうまく写せなかったのか、それは今もって謎です。

初めてまともに撮れた湘南色113系 

 新しいもの、古いもの

  国鉄時代の長期にわたって製造され、東京から関西に至る東海道とその沿線エリアにはどこにでもいた、あまりに一般的だった113系電車でしたが、国鉄末期以降は世代交代の波にさらされてきました。

  1985年に登場したステンレスの211系電車は113系の後継として関東・中京に導入され、主力の座を奪いました。関西の国鉄世代車両は221223系によって押しやられ、地方へと散らされました。

  内装は寒色系の壁・紺色のボックス座席で、今となっては冷たく古びた印象を受けます。壁やシートが張り替えられた車両もありますが、乗り心地や走りもJR世代の車両と比べると歴然たる差があり、長時間乗っていると疲れ方が違います。

  よくも悪くも‘古い電車を大事に使う’JR西日本は、この113系をワンマン運転用に短編成化し、山陰本線、福知山線北部、紀勢本線南部などに投入しました。そのさいに中間車両を先頭車化していますが、特に豊岡・福知山エリアの車両(3800番台)は極力経費を省こうとしたのか、あまりにも不細工な平顔で、記憶に残る珍車となってしまいました。(2008年夏に223系に置き換え。)

近畿北部で独特の存在感のあった3800番台 

紀勢本線の短編成ワンマン車。現在では単色塗装に 

  一方では、体質改善として内外装を大リニューアルした113系も登場しています。延命にとどまらず、設備を新型車両に準じるレベルに引き上げることを意図し、かなり根本的な改造となっています。

綺麗にリニューアル車でそろった編成 

221系などに準じる内装に 

  その後は新車の投入がメインとなって大規模な更新は行なわれなくなり、更新車と従来車が混在し塗色も統一されない編成がよく見られました。福知山線では、こと2005年の尼崎脱線事故後にはATS対応の兼ね合いで車両の交換がなされたことから、イレギュラーな編成がよく見られました。

福知山線オリジナルカラー(2代目) 

阪和線カラー車が福知山線に 

広島地区の「瀬戸内色」と湘南色の混成 

  2004年の秋に、長らく主戦場だった京都線・神戸線から撤退。その後も山陰線、福知山線、紀勢線などで運用されてきましたが、223系・225系・227系などの増備が進むにしたがって活躍の場を狭め。現在では湖西線・草津線、一部は115系とともに岡山エリアで運用されています。

「阪和色」も12年春で姿を消した 

  なおJR西日本が進める車両の塗装簡素化(単色化)に伴い、京都エリアでは緑色、和歌山エリアでは青緑色、広島では濃黄色一色への塗装変更が進められており、リニューアル車も塗色の上での区別はなくなりつつあります。

  関東では、横須賀線での乗車経験が一度だけあります。灰色と紺色の地味な「スカ色」。1999年には同線から撤退し、その後は千葉エリアに残りました。湘南色の113系は東海道線の東京口で依然主力を担ってきましたが、E231系車両への置き換えが進められた結果、2006年春に全面撤退となりました。「スカ色」の113系も2011年8月に定期運用を終了し、これをもって東日本の113系に終止符が打たれました。

東海道線東京口には、グリーン車を挟んだ113系も見られた 

  東海の113系は静岡エリアに集められ、東海道線・御殿場線などで走行してきました。しかしこちらも313系への置き換えが進められ、07年春をもって東海の113系は撤退。下の写真は、その引退を前にした御殿場線列車。

静岡エリアが東海113系最後の砦だった 

  JR四国に在籍する113系は、JR東日本から購入した車両をリニューアルしたもので、前面形状や座席配置など、かなり思い切った変更が加えられていました。すべてカラーリングが異なる3編成が運用されていましたが、2019年に運用を離れ全廃。

四国の113系は三者三様 

  もとの活動領域が広範だったため、まだまだ存在感は小さくないものの、しだいに一線から脇へと追いやられているのは確かなようです。

 

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