路線紹介 神戸高速線・有馬線

  各駅名横の( )内の数字は、その駅の標高。写真はクリックで拡大表示します。

 <神戸高速線>新開地→湊川 <有馬線>湊川→鈴蘭台






神戸高速線
KB01 新開地 しんかいち 阪神・阪急高速線(神戸高速鉄道東西線)
KB02 湊川 みなとがわ 神戸市営地下鉄西神・山手線
有馬線
KB02 湊川 みなとがわ
KB03 長田 ながた
KB04 丸山 まるやま
KB05 鵯越 ひよどりごえ
KB06 鈴蘭台 すずらんだい 粟生線
 1.新開地

  神戸電鉄有馬線の起点は湊川ですが、全列車が地下駅の新開地から出発します。新開地〜湊川間は神戸高速鉄道南北線として、1968年に開業。現在では「神戸電鉄神戸高速線」という扱いになっていますが、運賃は従来通り神戸高速区間が別計算なので、湊川をまたぐと初乗りが二度発生してしまいます。阪神・阪急神戸高速線(もとの神戸高速鉄道東西線)に乗り入れる阪神・阪急・山陽と接続しています。ただし、3社とは軌道幅の異なる神戸電鉄は、孤立した行き止まり式ホームから発着します。

  ホームは櫛形の2面3線(中央の線路は2,3番ホームで共用)。基本的に1,2番ホームから有馬・三田線方面、3,4番ホームから粟生線方面の列車が出ます。ホームは6両分の長さがありましたが、現在は4両分しか使用されていません。

ホーム手前には電光掲示板があり、発順が表示される 

 2.湊川(0)

  新開地からわずか400mほど走って湊川。神戸市営地下鉄の湊川公園駅と接続しています。新開地へ向かう上り列車は、ここで新開地からの下り列車が出てくるのを待つときがあります。

 3.長田(70)

  湊川を出るとまもなく地上へ出、ここからが登山電車の本領発揮。ぐんぐんと坂を登り、長田へ。急行以上の優等列車は通過します。湊川から2km弱ですでに標高は70m。95年1月の阪神・淡路大震災の際には、新開地〜長田間の被害が大きく、6月までこの長田での折り返し運転が続きました。ちなみに、阪神高速線に「高速長田」、神戸市営地下鉄に「長田」駅(この2つは接続駅)があり、それらとは全く別の場所で紛らわしいためか、アナウンスや駅名標では「しんてつながた」となっています。

  なお有馬線の駅ホームは、基本的に4両対応。粟生線に5両編成があった名残で、新開地〜鈴蘭台間は5両編成(またはそれ以上)対応ですが、2009年3月改正で5両運転は廃止されています。

住宅群が山すそに張り付くように立ち並ぶ 

 4.丸山(95)

  立ちふさがる山のすそを大きくカーブしながら、丸山へ。普通列車以外は通過します。

 5.鵯越(134)

  次は鵯越(ひよどりごえ)。こちらも普通のみ停車。鵯越といえば、一ノ谷の合戦において源義経が奇襲をかけたとされる地として知られます(実際の奇襲の場所がどこだったのか、そもそも平家物語の記述にどこまで信憑性があるのかは諸説あるようですが)。実際にこの付近、須磨方面にかけて海に面して険しい地形となっていますが、今ではそんな急斜面に沿って谷間に民家が建ち並び、その様が車窓から見渡されます。トンネルを抜けると鵯越駅ですが、ホーム自体が急カーブのさなかにあり、これより先は民家も途絶えます。

鵯越駅を出て、50パーミルの勾配へとさしかかる 

  鵯越から2つのトンネルを抜けると、人里離れた山の中へ。そんなところに位置した菊水山駅は、主にハイキング客向けの駅でしたが、利用の減少と合理化の流れから2005年3月25日をもって営業休止しました(2018年3月に正式に廃止)。今でもホームはそのまま残っています。

  →休止前の様子はこちらにまとめています。

  ここから先、以前は線路が谷に沿っており、なかなかの絶景でしたが、ダムの建設に伴って付け替えとなり、現在は旧線の対岸側にあたる山の中を長いトンネルで通り抜けます。

休止前の菊水山駅より。左が旧トンネル 

  トンネルを出てしばらく進むと谷が広がり、右手に車庫が現れます。神鉄最大の車両基地であり、車両整備や運用の要となっています。この先鈴蘭台駅に向けて、急に街がひらけてきます。

多くの設備を擁する鈴蘭台車庫 

 6.鈴蘭台(278)

  車庫への引き込み線としばらく併走して、鈴蘭台に着。粟生線が分岐し、車庫に出入りする列車の始発・終着駅となるだけでなく、乗務員の交代も行われる運用の拠点です。駅前には大型店舗もあり、昔ながらのターミナルの雰囲気があります。

  標高278m。湊川〜鈴蘭台間7.5kmの平均勾配は、なんと約37パーミルということになります。ホームは2面4線で、上り・下りとも有馬線方面・粟生線方面で使い分けています。駅東西の高さが違うため、西側は地平駅に見えますが、駅舎のある東側からは、改札口から階段でホームへと上がる高架駅のようなスタイルとなっています。ホームや階段の狭さから、拠点駅でありながら階段でしかホームに行けないという問題を抱えていましたが、ホーム南側にエレベーターを設置、専用の改札口を設けることで、ようやく2011年にバリアフリー化が実現しました。なお2016年以降駅前の再開発に着手、駅ビルの建設と駅舎の橋上化が行われ、駅舎は2018年に完成しています。(写真は旧駅舎)

 鈴蘭台→有馬温泉






KB06 鈴蘭台 すずらんだい 粟生線
KB07 北鈴蘭台 きたすずらんだい
KB08 山の街 やまのまち
KB09 箕谷 みのたに
KB10 谷上 たにがみ 神戸市営地下鉄北神線
KB11 花山 はなやま
KB12 大池 おおいけ
KB13 神鉄六甲 しんてつろっこう
KB14 唐櫃台 からとだい
KB15 有馬口 ありまぐち 三田線
KB16 有馬温泉 ありまおんせん

  鈴蘭台より、単線の粟生線が大きく左へカーブして分かれて行き、有馬線のほうは直進してゆきます。

 7.北鈴蘭台(346)

  さらに登り勾配で住宅地の中を進み、北鈴蘭台は1970年開業、有馬線内では最も新しい駅です。

 8.山の街(316)

  ここまで登り一辺倒だった有馬線は、ようやく下りに転じ、まもなく山の街へ。裏六甲側から見れば、文字通り山の上に位置する街で、傾斜のきつい地形でありながら、民家や商店が集まっています。この先、斜面に沿って広がる宅地を横目に、大きくカーブを描きながら、急坂を下ってゆきます。次の箕谷(みのたに)までの1.7kmで72m下り、平均42.4パーミルという、およそ住宅地の中を走る鉄道とは思えない急勾配です。

急勾配、急カーブを描いて進む 

 9.箕谷(244)

  阪神高速北神戸線をくぐり、箕谷へ。新神戸駅方面に直結する新神戸トンネルの出入り口に近く、近隣にはニュータウンが発達しています。しかし、トンネル経由で神戸市街へと直結する神戸市バスが便利なためか、箕谷駅自体は谷間のローカル駅の雰囲気です。

  山田川の谷まで下り、ここからは裏六甲を東進してゆきます。谷上の手前で列車はトンネルに入ります。谷上駅前後の区間は、1988年の北神急行開業に伴う駅移転にあわせて線路がつけかえられました。以前の線路は現在のトンネル入り口手前から左にカーブし、現谷上駅の北側にあった旧谷上駅に向かっていました。その跡は県道15号神戸三田線(通称有馬街道)に吸収されています。

 10.谷上(234)

  トンネルを出ると、南側に神戸市営地下鉄北神線(旧北神急行線)の線路が沿い、周囲が急に開けて谷上に着きます。新神戸・三宮方面に直結する北神急行の開業に合わせて移転新築された高架駅で、そびえ立つ駅ビルを合計3本のホームが突き抜ける偉観は、神戸電鉄絶頂期の象徴ともいえるでしょう。

1988年春、新駅開業当時の様子。手前は旧駅 

現状、旧駅跡地は県道に取り込まれて跡形もない 

  北神エリアの右肩上がりの発展を期待して、神戸中心部へのバイパス路線とすべく六甲山を貫いて開業した北神急行でしたが、利用は思うように伸びず、また神鉄のほうも2面4線の設備をもてあましてしまい、結局神鉄4番線を廃止して3番ホームを北神急行5番線に接するよう拡張、その接する側が現4番ホームとなっています。2001年6月から同一ホームでの乗り換えを実施し、神鉄側は日中、上り下りとも3番線に発着させることで利用の促進を図っています。

  北神急行線は2020年6月に神戸市営地下鉄の一部となりました。運賃体系が地下鉄と一本化されたことで大幅な値下げとなり、利用促進が見込まれますが、神鉄にとっては乗り継ぎ利用の増加が期待される半面、神戸方面への直通利用者が地下鉄に流れることも考えられ、影響は未知数です。

北神急行と平面的な乗り換えが可能に 

  なお、朝ラッシュ時に上りのみ運転される「特快速」は、岡場からここ谷上までノンストップです。

 11.花山(281)

  そんな谷上を出ると再び登り勾配にかかります。谷沿いには旧来の農村が残る一方で、両側の山々が切り開かれて住宅街が連なります。有馬街道をまたぎ、谷を駆け上がって花山。この先唐櫃台まで、対向式ホームが構内踏切でつながるという、似たような構造の駅が続きます。

 12.大池(350)

  さらに大きくカーブしながら勾配を進み、六甲山麓のニュータウン群を見ながら大池へ。ここが分水嶺となり、加古川水系から武庫川水系へと移ります。つまりこの先は三田方面へとひらけてゆくわけです。北側には山々が近づきますが、南側に年季を経た風の住宅地が広がります。

大池へ向けて登る。急勾配の連続する区間 

 13.神鉄六甲(323)

  坂を下って神鉄六甲。かつては「六甲登山口」を名乗っていました。阪急の六甲駅とは、ちょうど六甲山系を隔てて表裏の位置関係で、神鉄六甲駅の東にある唐櫃ICから六甲有料道路を進めば、阪急六甲方面へと出ることができます。

 14.唐櫃台(309)

  短い間隔で唐櫃台(からとだい)へ。近くには近年、「天然温泉 からとの湯」という施設ができました。

 15.有馬口(293)

  有野川が左手に沿い、谷間を進んで有馬口へ。有馬線と三田線との接点で、2面4線を有しています。三田線から直通する朝ラッシュ時の上り「特快速」だけは通過します。

  有馬線列車の大半はここから三田線へと入ってゆき、残る有馬口〜有馬温泉間1区間はピストン運転が主体となっています。従って、日中神戸方面から有馬温泉へ行くには、ここ有馬口で乗り換えが必要です。

  なお、この駅のポイント部で2006年1月と2月に脱線事故が発生しました。人的被害はなかったものの、ほぼ同地点での立て続けの事故だったために、大きな問題となりました。事故後に改良工事が行われ、現在ではホームもあかぬけた風になりました。しかし2013年6月には三たび構内で脱線事故が発生。約1年間、新開地方面〜有馬温泉の直通を休止し、構内配線の変更が行われました。

  新開地から有馬口まで有馬線はずっと複線でしたが、この先で分岐する三田線・有馬線ともに単線となります。

有馬口駅の三田・有馬温泉側 

  右へ大きくカーブして三田線と分かれると、列車は人里離れた林の中を進んでゆきます。ここまで新旧の宅地を進んできた有馬線も、最後は「秘境の温泉地」に入ってゆく雰囲気です。とはいえ途中には、阪神高速の有馬口ICが野山を切り裂くかのように出現します。

  最後にくぐるトンネルの手前には、「新有馬」という駅がありました。一帯は森林で、もともと駅としてはほとんど機能しておらず、周辺の開発を見込んで籍だけを置いていたようです。1975年に休止後も、ホームはフェンスに囲われた状態で残っていましたが、2013年2月をもって正式に廃止され、ホームも撤去されました。

休止中の新有馬駅(左側ホーム) 

 16.有馬温泉(357)

  トンネルを抜けるとすぐに温泉街がひらけ、終点有馬温泉の行き止まりホームに到着。2線を擁する島式ホームです。標高357mで、神戸電鉄の駅としては最高地点。かつては昭和初期築のコンクリート製の駅舎でしたが、鏡張りの近代的な駅舎に建て替えられ、「近畿の駅百選」にも選ばれています。駅からさらに奥の温泉街へ、人や車の往来が盛んです。

温泉地への玄関口となる終点の駅、有馬温泉 

電車はここで折り返して行く 

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