記載内容は2015年9月現在。
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JR西日本がローカル線向けに導入したミニタイプの軽快気動車 |
記載内容は2015年9月現在。
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JR西日本は中国地方を中心に不採算ローカル路線を多く抱え、発足当初から苦戦を強いられることは必至でした。そんな地方路線の体質改善を図るために導入されたのが、新型気動車キハ120形でした。1992年に登場、当初は木次線と越美北線に配備され、その後JR西日本管内の多くの非電化路線に投入されました。
現在では中国地方の大半のローカル区間のほか、関西本線(亀山〜加茂間)、高山本線(猪谷〜富山間)などでも走ります。またかつて富山港線は電化路線でありながら、日中にはキハ120でのワンマン運転が実施されていましたが、同線は06年2月末をもって廃止(「富山ライトレール」に移管され、低床路面電車が走るようになりました)。
短めの車体、ワンマン運転対応、単行運転のための両運転台など、全体にローカル輸送に特化した構造となっています。運転席横のミラー、折り戸の乗降口などはまさにバスの雰囲気。当初は鋼製、量産期からはステンレス製になりました。車内はセミクロスシートですが、クロス部分は固定4席×4ボックスだけで、それ以外の部分はロングシート(一部オールロング車あり)。トイレが当初備わっておらず、この車両が走る線区の駅時刻表にはその旨が記されていましたが、さすがにひんしゅくを買ったため、のちに設置されました。
このタイプの車両はJR西日本のみなず、一部の第三セクターにも導入されています(後述)。
では、私が旅行で利用した際の印象を取り上げてゆきます。
まず合理化を前提に造られているだけに、全体としてそっけない構造です。車体が短いので、JR版レールバスともいえそうな存在です。新型(デビューからは10年以上経ちますが)だけに走行の性能はそれなりに高く、国鉄世代のキハ58系やキハ40系などと比べればかなり軽快に走り、勾配もさほど苦にしません。JR西日本のローカル線は、保線の省力化のためか極端な徐行をする区間が多く、もどかしいのですが、逆に言えば、そのような線区だからこそ加減速がスムーズでなければならないともいえるでしょう。
汽笛は、半分空気の抜けたような間の抜けた音。こんなところにも造りの安っぽさが否めません。
前述のように、クロスシートは4ボックスしかないので、長距離でもロングシートで我慢を強いられることがしばしば。鈍行乗り継ぎ旅ではあまり使いたくない車両ですが、西日本ローカルの旅行では、もはや避けて通れない存在。特に中国地方内陸部の多くの路線では、どんなに待ってもこれ以外の車両は来ません。
1両、長くて2両編成でのワンマン運転がほとんどで、私は3両編成以上のキハ120にお目に掛かったことはありません。(場所によって存在してはいるそうです。)
キハ120形のもうひとつの特色は、エリアによって色づかいが区別されていることです。量産タイプはステンレス車体なので、前面や側面の帯で色分けがなされています。国鉄末期以降広がった「地方カラー」の流れをくむものですが、全域でカラーリングをほぼ統一しているJR東日本のキハ100形/110系などとは対照的。ただし近年、JR西日本管内で進められている塗装簡略化の流れを受けて、首都圏色(たらこ色)一色のキハ120もお目見えしています。
以下に、各地域の車両を挙げます。
北陸では大糸線(南小谷〜糸魚川間)、高山本線、越美北線で運用されています。大糸線の車両は、キハ52形最後の生き残りを置き換えるべく岡山から転属してきたもの。帯色は岡山時代と変わらずオレンジ+赤色となっています。
高山本線の車両は先頭部の一方が朱色、もう一方は緑色に区別されています。現状猪谷以南とは普通列車のダイヤは分断されており、キハ120がJR東海区間に入ることはありません。
キハ120が最初に投入された越美北線には、最初期の鋼製車が在籍。
関西本線の車両は青紫のカラーリング。
津山線や姫新線(佐用〜新見間)など岡山県エリアでは、オレンジ+赤帯のキハ120が広く運用されており、伯備線を走って米子まで達する列車もあります。
島根県内の山陰本線を走る車両。かなり高速で飛ばしてくれます。
さらには芸備線などで運用されるグループ、山口県内で走るグループがあり、両者は似て非なるデザインとなっています。
キハ120形はもともと第三セクター線のための設計なので、似た仕様の同族が各地に存在します。下記のほか、九州のくま川鉄道や四国の阿佐海岸鉄道(05年の台風災害で廃止された高千穂鉄道から譲渡)にも在籍しているとのこと。