大阪〜姫路間を「JR神戸線」と呼ぶのはJR西日本が独自に設けた愛称で、正式には大阪〜神戸間が東海道本線、神戸〜姫路間が山陽本線です。大阪〜神戸間は官設鉄道として1874年(明治7年)に、神戸〜姫路間は「山陽鉄道」により1889年(明治22年)までに開業。その名残で今も東海道線と山陽線の境界は神戸となっていますが、ほとんどの列車が神戸を直通します。
私鉄各社が熾烈な競争を繰り広げてきた近畿各線の中にあって、とりわけ京都から姫路にかけての区間は、阪急・京阪・阪神・山陽電鉄が国鉄路線と並行する激戦区でした。国鉄末期には旗色が悪かったものの、1970年に運行開始した「新快速」は、国鉄が曲りなりに破格のサービスを供した特異な存在でした。
JR発足後、大阪を中心としたネットワーク網はさらに強化され、その軸に位置付けられた京都・神戸線はJR西日本の最重点路線となりました。1995年の阪神・淡路大震災のときには2ヶ月以上にわたって不通となりましたが、阪神間ではいちはやく全線復旧しました。
2014年以降、路線記号「A」、ラインカラーに青色が設定されています。
大阪〜西明石間は複々線となっており、普通(各駅停車)・快速が走る「電車線」と、特急列車・貨物列車・新快速および一部快速が走る「列車線」に分かれます。大阪〜兵庫間では列車線が電車線を挟みますが、新長田以西では電車線と列車線が分離するため、新長田〜朝霧間の各駅には列車線にホームがありません。西明石〜姫路間は複線。網干に網干総合車両所、西明石にその明石支所があり、神戸線車両のねぐらとなっています。
大阪(梅田)〜神戸間では北側に阪急、南側に阪神が並行していますが、都市間輸送となると新快速の速さが群を抜きます。神戸〜明石間では山陽電鉄とごく近いところで並行。海にも近く、須磨の海岸や明石海峡大橋、淡路島も望めます。明石以西では浜側をたどる山陽電鉄と分かれ、加古川を経て姫路に至ります。
兵庫で和田岬線、加古川でJR加古川線、姫路で播但線・姫新線に接続。新幹線接続駅は西明石と姫路。新神戸へは三ノ宮から神戸市営地下鉄でひと駅。
ダイヤは15分ヘッドを基本とし、最速達の「新快速」が大阪〜姫路を直通。大阪〜西明石間で「快速」として運転される列車は西明石以西では「普通」となります。大阪〜西明石間における「普通」は、207,321系で運転される各駅停車。普通(各駅停車)は大阪方面に直通するものと、尼崎を経てJR学研都市線・東西線に直通するものとがあります。
JR西日本の中核路線として、車両は常に最新型が投入されてきました。新快速には223系,225系が使用され、最高130km/h運転を実施しています。快速には221,223,225系。普通(各駅停車)には207系,321系。
特急としては智頭急行HOT7000系「スーパーはくと」、キハ189系「はまかぜ」などがあり、京都線には及ばないまでも多彩な顔ぶれが見られますが、近年では225系や321系の投入が進み、銀色の車両が主力を担うようになりました。