車両紹介−普通・快速

  記事中の「快速」は大阪〜西明石間快速(西明石以西普通)、「普通」は大阪〜西明石間普通(各駅停車)の列車を指します。

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 現在、神戸線を走る車両

 225系(新快速・快速)

  223系の後継車両。安全性の向上のための衝突時の衝撃軽減、つり革・手すりの改善のほか、バリアフリー対応、車内液晶モニタを設置。221,223系にあった先頭部の傾斜がなくなり、運転台窓も高くなったことから、面構えは113系などに近くなった感じです。京阪神および阪和線に投入され、神戸線では223系などと併用で新快速や快速に使用されています。

デビューを控える225系 

快速として運行 

車内モニター、黄色い吊り輪の新機軸 

  2016年から増備されている100番台は、正面のデザインが広島地区に導入された227系などと同様のより曲線的なものになり、従来幕式だった種別表示器、オレンジ色の単色LEDだった行き先表示器がいずれもカラーLEDになりました。側面の表示器も種別・行き先一体型のカラーLED式に。

「新快速」の表示がカラーLEDに 

  後述の223,221系を含め、先頭部に順次転落防止幌が設置されています。(100番台は当初から設置済み。)

 223系(新快速・快速)

  関西の新快速の歴史は、大阪万博後(70年)の113系に始まり、急行から格下げされた153系(72年〜)、「シティライナー」117系(79年〜)、JR西日本初のオリジナル新型車となった221系(89年〜)、そして223系へと受け継がれてきました。2010年以降の新車は225系に移行しましたが、快速系統では現状、最大勢力です。

  京都・神戸線用の223系は1995年8月に初めて導入。阪神・淡路大震災後の輸送力確保のため、当初計画より前倒しで投入されたものでした。221系のスタイルを踏襲しつつ車体にステンレスを採用し、しばらくは221系と併用され、221系と併結されることもありました。2000年春にすべての新快速が223系に統一され、JRの快速車としては初めてとなる最高130km/h運転を実現しました。

市川を渡る新快速12両編成 

  新快速としては通常、神戸線内では12両編成で運転されています。快速としては6,8,10,12両編成。播州赤穂へ乗り入れる新快速は姫路で増解結されて、赤穂線には4両または8両で入ります。性能、内外装とも、快速用としては全国でも最高クラスの車両に数えられることは間違いありません。

「快速」として走る機会も増加 

  2006年10月からの新快速敦賀延伸もふまえて、2003年より再び223系の増備が行なわれています。これにより、京都・神戸線系統からは113系が淘汰され、JR世代車両でまかなわれるようになりました。また、221系との共通使用を前提とした6000番台も登場。先頭の貫通扉部にオレンジ色のラインが加えられて従来車と区別されています。これにより221系との併結が再び日常的に見られるようになりました。

223系新快速と221系快速が併走 

221系と併結され快速運用に就く6000番台 

  前述の225系の登場により、223系は「一世代前」の車両となってしまいましたが、依然神戸線の主力であることに変わりはなく、225系と併結されての新快速運用もあります。

225系と組むことも 

  2019年3月改正より、新快速一部列車の9号車に有料座席の「Aシート」が登場。従来車両を改造したものですが、中央部の扉を廃して2ドアとし、外装にブルーのラインを配して区別を図っています。車内はテーブルつきのリクライニング席となり、コンセント、無料Wi-Fiも提供。1日2往復で運行を開始し、今後拡充してゆくとみられます。

12両編成の9号車に組み込まれた「Aシート」 

 221系(快速)

  新快速用117系を置き換えるべく、1989年に登場した221系。91年にはほとんどの新快速が221系化され、京都・神戸線の主役にのし上がりました。

デビュー間もないころの221系新快速 

  2扉・最高115km/hの117系に対し、221系は3扉・最高120km/h。これにより、停車駅を増やしつつ所要時間を短縮することが可能になりました。また117系の特色を継承しつつ内外装ともにさらにレベルアップし、新快速の地位確立に大いに貢献。並行私鉄各社に対する優位を築いてゆきました。

  「新快速」としての任務は後継の223系に譲ったものの、いまだ京都・神戸線「快速」として活躍中。京都・神戸線の快速は6,8,10,12両での運転で、223系と併結されていることもあります。

221系快速 

221系+223系の編成 

221系車内 

  登場から四半世紀以上が経過していることから、順次体質改善工事が行われています。外見上の大きな変化としては、従来「JR」マークのあった先頭部右側上方にLED行き先表示器が設置され、ライトも交換。車内設備や機器類も223系・225系に近づきました。先頭部の転落防止幌も順次設置が進められています。

リニューアル221系 

 321系(普通)

  207系の延長線上にある通勤形の新型車として、2005年12月にデビューしました。今後増備される通勤車両の標準とされており、順次201,205系を置き換えています。

  207系とかなりの点で共通しているものの、7両編成を基本としています。車内には、カラーの液晶モニターが設置され、案内や広告が表示できるのが特長です。

  デザインは紺とオレンジのラインとなりましたが、これは2005年4月の福知山線事故で脱線・大破した207系のイメージを払拭するための変更とみられます。

神戸線各駅停車として走る321系 

車内の液晶モニター 

207系との並び 

 207系(普通)

  1991年に登場した、JR西日本独自の通勤形電車。京都・神戸線、および尼崎からJR東西線を介して学研都市線(片町線)、またJR宝塚線(福知山線)へと入ります。4両+3両のコンビで7両編成を組みます。(最初に登場した1編成だけは7両編成。)車体の幅を広めにしてあることや、窓を大きくとっていることで、車内はかなり開放的で広々と感じます。走行性能もよく、通勤形としては申し分のない車両といえるでしょう。

  しばらく増備がストップし、旧式車両のリニューアルでしのいでいた時期がありましたが、アーバンネットワークの基幹である京都・神戸線を新型車で統一するべく、2003年から新車導入が再開。207系は登場から15年近くが経過したことから、2005年度からは207系ベースの新形式、321系に移行することとなりました。

  05年4月、宝塚線で脱線転覆事故が発生。その当事車両が207系であったことから、321系はデビュー時からデザインを変更、207系も05年末から06年春の間に、同様の紺・オレンジラインに変更されました。

321系に準じるデザインとなった207系 

旧カラー時代の207系どうしの行き違い 

  登場から20年以上が経過し、2014年以降順次体質改善工事が行われています。前面のデザインが321系に近くなり、行き先表示がカラーLEDに。車内も321系に準じるものにリニューアルされています。

リニューアル207系 

 過去に神戸線を走った車両

 117系(新快速 80-99年)

  新快速用の新車として1979年落成、翌80年に順次153系を置き換えてゆきました。私鉄との対抗上、急行券不要の列車としては破格のスピード、そして転換クロスシートを装備し、国鉄の中では異色の存在でした。基本は6両編成で、のち名古屋エリアにも投入。JR化後の近郊輸送のモデルともなった車両でした。

  しかし新快速が好評を博するに連れ、2扉・6両編成という中途半端な構造がネックとなり、結局10年余のうちに221系に道をゆずることになりました。

  新快速のほとんどが221系化された91年以降も、早朝深夜の一部の新快速に細々と使われたほか、ラッシュ時の快速に充てられていた時期もありましたが、99年には新快速から完全撤退。現在神戸線エリアで117系が走行することは通常ありません。

国鉄末期まで「新快速」は内側線(電車線)を走行していた 

希に団体列車などで走行 

117系車内 

 113系(快速 -04年/新快速 70-72年)

  近郊形の標準形として量産された113系。神戸線・京都線では長らく快速の主力として使用されてきましたが、221系増備に伴って影が薄くなってゆきました。このまま同線区から姿を消すかと思われましたが、221系の他路線進出により車両不足が生じ、車齢の比較的若い113系に延命工事を施して使いつづける方針に転換。単なる延命にとどまらず、座席の転換クロスシート化、屋根部のフラット化など、221系に準じるレベルに引き上げることを目指した大リニューアルでした。

  最高速度は110km/hで、朝夕ラッシュ時を中心にその姿を見ることができましたが、京都・神戸線では新型車への統一化を図る目的で、2003年以降は再び新車投入が進み、2004年10月をもって113系は撤退となりました。

  なお、1970年に走り始めた新快速は当初、横須賀色の113系だったそうです。当時は1時間間隔、日中6往復限りの運転で、現在とは隔世の感があります。

湘南色113系 神戸線での晩年 

湘南色の中間にリニューアル車が挟まるものも多かった 

 153系(新快速 72-80年)

  1958年以降、おもに東海道・山陽線系統向けの直流急行形電車として量産され、近代化に貢献しましたが、新幹線の延伸と後継の165系増備に伴い、早くも70年代には衰退にかかりました。

  1972年、山陽新幹線岡山開業で余剰になった153系が「新快速」に投入されました。白地に水色帯の「ブルーライナー」塗装の6両編成で、前面に大きく「新快速」と書かれたヘッドマークを掲げていました。(当時の「新快速」の書体が、今の223系や313系などの方向幕にも継承されています。)草津[京都]〜西明石[姫路]間15分間隔の運転となり、これが現在の「新快速」の素地となっています。

  急行形電車を特急並みの速さで料金不要の快速として走らせるという、当時の国鉄としては画期的なサービスでしたが、既に酷使されていた上での高速走行がたたってか老朽化が進み、1980年に117系に置き換えられました。153系自体は1983年に全廃。一時代を築きながら、1両の保存車さえ残されなかった「幻の車両」。残念ながら私は実物を見た記憶がなく、ゆえに写真もありません。

 201,205系(普通)

  103系の後継車両として開発された201系。関西では1982年ごろから現在の京都・神戸線の各駅停車用に導入されました。その後、電化された宝塚線にも入るようになりました。JR化後にベンチレータ撤去や窓枠交換などのリニューアルを施されています。

  205系は1985年の登場。201系と雰囲気は似ていますがステンレス車体となり、コストダウンが図られています。「山手線の電車」のイメージがありますが、同線からは既に撤退しています。阪和線にも同じスカイブルーのラインで投入されましたが、こちらはJR化後の導入でデザインが若干異なります。

  いずれも7両固定編成で、共通で運用されましたが、JR東西線に入ることはありませんでした。

  性能面で207系に劣るため、321系の増備で京都・神戸線から追われることに。201系は大阪環状線・大和路線へ転属となり、関東でしか見られなかった「オレンジ色の201系」、そして史上初の「ウグイス色の201系」が登場することとなりました。205系は阪和線へ。

  なお2011年3月改正で、205系の一部が京都・神戸線に復帰。321系などにならった紺とオレンジの帯をまとい、ラッシュ時の尼崎以東限定で使用されていましたが、2013年に終了しました。

ブルーの201系は西日本から消滅 

神戸線205系 

 103系(普通)

  国鉄通勤形電車のスタンダードだった103系。関西ではかつて京阪神(青)、宝塚線(黄→青)で使用されていたほか、大阪環状線(オレンジ)、関西線(緑)、阪和線(青)でも大所帯をなしていました。

  201,205系の増備で京阪神からは姿を消し、ラッシュ時に宝塚線から乗り入れていたものも消滅。現在神戸線で営業運転される姿を見ることはありませんが、和田岬線用の103系が兵庫〜大久保間で回送運転されます。

神戸線各駅停車として現役だった頃。左は寝台特急「なは」 

和田岬線用の103系。西明石入出庫の際は大久保で折り返す 

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