写真は一部を除き、クリックで拡大表示します。ブラウザーの<戻る>でお戻りください。★印の写真は、自由中の水色ジャージ様、●印の写真はスーパー白鳥様のご厚意により掲載させていただいていますので、これらの写真の転載等はお断りします。
記事中の「F」は「編成(Formation)」を指し、当サイトではその編成の三田・粟生側先頭車の番号で表記しています。
編成一覧はこちら。
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四半世紀にわたって貫通型の汎用車として量産された1000番台の電車。当サイトでは総称して1000系列と呼び、便宜上以下の通り分類しています(公式の分類ではありません)。
1000系
1000形
1050形
1070形
1100系(1100/1200形)
1150系(1150/1250形)
1300系
1300形
1350形
1370形
1500系(1500/1600形)
長らく神戸電鉄には線区により異なる編成長の限界(3両、4両、5両)があったことから、この1000系列を様々に組み替え3-5両編成を形成しました。ラッシュ時に行われていた増結・開放のために、密着連結器を備えた車両もありました。
冷房化や全区間4両編成対応化、ワンマン化に伴い、3両または4両編成に固定化。その際連結部の運転台機能は廃止されたものの、かつて300系や800系で行われたような運転台の撤去は行われていません。2009年3月に5両編成の運転がなくなったことに伴って非冷房車が全廃され、すべての営業車両がワンマン対応・冷房車となりました。
車体は当初グレーとオレンジの配色でしたが、85-93年頃に現在の配色に変更。2000年頃からはドア部を赤く塗った塗装パターンを横一線に変更し、今に至ります。
1000系列の前面貫通扉部には特徴的な2段式の行き先/種別表示器があります。(山陽電鉄3000系列と似ていますが、行き先と種別の上下が逆です。)書体は以下のような変遷をたどっています。
手動の時代。長らく縦長の細い丸ゴシック体が使用されていました。 | 手動の末期には書体はそのままで行先だけ白抜きになったものも。 | 電動化とともに太字の丸ゴシック体に。行先が白抜きに。 | 2017年から、ローマ字併記のものが登場しています。 |
個々の経緯が複雑であるため、詳細は編成一覧をご覧ください。
1965年登場の1000形は、神鉄初の新性能車であった300系を貫通型・ロングシートにした「310形」をベースに扉を両開きにしたスタイルで、以後25年にわたり増備された1000系列の基本形となりました。
1000形同士を2つ組んだ4両編成のほか、1050,1070形と組んで3両編成、1100形3連と組んで5両編成と、さまざまなかたちで使用されました。非冷房のまま1995年に全車廃車。
★1000形(左)と1100形(右)
91.4.21 鈴蘭台
1050形は片運転台・2扉の車両。ただし貫通側にも簡易運転台を備え、単独で動ける車両でした。
主に増結用として、310形・1000形や1100系などと組んで3,4両編成を構成したり、1050形同士または後述の1070形と組んで増結2連となったりしました。
最終的には1070形1072車とセットになった1062車が、神鉄最後の非冷房車として残りました。晩年は粟生線ラッシュ時のみの5連運用に就きましたが、2009年3月をもって離脱。2010年春頃に解体され、1050形は消滅しました。
1070形は両運転台の増結用車両でしたが、純粋に1両での増結車として機能したのは初期のうちだけで、のちに他の編成と固定化され、単独での走行はできなくなっています。
全6両のうち、1071〜1073は1050形と組んで増結用2連となり、粟生線志染以東の5両編成の一部として使用されました(1071は最終的に4両編成の1119Fと組んでの5連)。最後まで非冷房でした。2009年に運用離脱し、これをもって神鉄のオール冷房化が実現しました。
1074,1075,1076の3両は冷房化のうえ、1100,1150系と組み合わされて4両ワンマン編成に組み込まれて固定化されました。1074は相方となった1111Fと、1075は1113Fと共に廃車となり、現存するのは1076のみとなっています。
1100系は1969年に登場。神鉄初の3両編成で、中間付随車には1200番台が付されています。1000形のスタイルを踏襲した2扉車で当初は非冷房でしたが、のちに全車冷房化されています。
長らく粟生線は志染以東で5両、以西で3両が限界だったため、1100系をはじめとした3両編成は粟生線を中心に運用されていました。新開地〜志染間には主に、この3連の新開地寄りに1000,1050,1070形や1300系の2両編成をつなげた5両編成が充てられました。ラッシュ時には志染でこの2両を連結・解放しての直通運転が行われました。1100系が冷房化した後も増結2連の多くは非冷房のままで、夏場は新開地寄りが敬遠されるという状況でした。
2001年に粟生線全線が4両編成に対応したことに伴い、一部の編成が4連に組み替えられました。
1123F [1123-1212-1124] および1125F [1125-1213-1126]を解体して以下の編成に編入。
1115F [1115-1208-1116] → [1115-1125-1208-1116]
1119F [1119-1210-1120] → [1119-1210-1126-1120]
1121F [1121-1211-1122] → [1121-1211-1124-1122]
1212,1123,1213は廃車。中間車1212,1213は800系860形の車体を付随車化して編入したものでした。
これらの編成は2013-15年に3両編成に戻り、編入された1125,1126,1124は廃車されています。
1119Fには、神鉄では初めてのこととして車両の境目に転落防止柵が取り付けられました。縦長の柵でしたが、以後は爪のようなタイプが採用され、後に1119Fも爪タイプとなっています。
当初の1119F(左)と以降(右)の転落防止柵
ワンマン対応化は順次施工されましたが、1117F[1117-1209-1118]と1119F[1119-1210-1126-1120]はワンマン対応化されずに、2009年3月まで非ワンマン5両編成の一部としてラッシュ時に限定使用されていました。この改正で5両編成列車が全廃、すべての列車がワンマン運転となり、のちに1119Fもワンマン対応になっています。
1117Fはワンマン対応化されることなく引退しましたが、1117車は鉄道車両システムなどの開発を行なう「カコテクノス」小野工場にて保存されています。屋外に常設されており、現役車両では見られなくなった細字の方向幕を掲げています。(団体での申し込みで見学可能。)2013年11月には80年代まで主流だった旧塗装(グレーとオレンジ)に塗り替えられています。→カコテクノスのサイト
また一部は1070形と固定化されて4両編成になりました。
1111F [1111-1206-1112] → [1074-1111-1206-1112]
1113F [1113-1207-1114] → [1075-1113-1207-1114]
かつては1000系列の2扉車と3扉車の混成は日常茶飯事でしたが、今では1075(3扉)+1113F(2扉)のみとなっています。
車齢50年が近づき内外装とも陳腐化が目立ちますが、まだしばらくは働くことになりそうです。ただし2016年には1000系の代替として3両編成の新型「6500系」の導入が始まり、それに先駆けて1111F+1074の4両編成が廃車されました。また1100系の第一編成で神鉄の現役最古参であった1101Fも、2017年に廃車されています。
2019年には6500系に置き換えられる形で1115F,1119F,1121Fも引退。この時点で現役の1100系は4編成、6500系は6編成となり、3両編成の最大勢力の座を6500系に譲ることになりました。不思議なことに、1109F以前の初期車両のほうがそれ以降の車両より長く存続しています。1109F以前の編成は冷房改造が比較的遅かったことや、編成の組み替えを経験していないためかもしれません。
1150系は1100系の3扉バージョン。1977年に登場した1151Fは1000系列で初めての3扉となりました。87年に第二編成1153Fがデビュー。1150系は結局この2編成だけとなりましたが、両者には10年ほどの隔たりがあるため、登場時の仕様が若干変わっています。
登場時の塗装:旧塗装→新塗装
内装化粧板:水色→木目調
登場時の冷房:なし(のちに冷房化)→あり
乗務員扉横Kマーク:なし→あり
登場時の方向幕:細字・手動・側面なし(のちに新式に)→太字・電動・側面あり
1151Fは3両編成のまま、1153Fは1076と固定化されて4両編成を構成しています。
2018年5月より、1151Fは神戸電鉄90周年を記念した「メモリアルトレイン」として、1950-60年代のカラーリングを復元したグリーンとグレーの塗装を施されています。
1300番台の電車は2両組を基本に登場しましたが、年式により仕様が異なります。
1300形はスタイル的には1000形と同じく2扉の2両編成。もともと非冷房で、主に増結用として使用されていました。全5編成がありましたが、最終的に残った1309F[1309-1310]は冷房化のうえで、1350形1361F[1361-1362]と固定4連化されました。
2015年春にこの編成は1361Fから分離され引退、1300形は消滅しました。
1000系列では初めて当初から冷房装備の3扉車として計6編成12両が製造された1350形。増結用として、また1070形と組んでの3両編成として使用されたほか、一部は後述の1320形を挟んで4両編成を組みました。
現在ではすべて1350形同士を組み合わせた4両編成に固定化されています。
2018年7月より1357F+1359Fは神戸電鉄90周年を記念した「メモリアルトレイン」として、1980年代までのカラーリングを復元したオレンジとグレーの塗装を施されています。
1300形や1350形に挟んで4連を形成するために、中間車2連の1320形が制作されました。これがのちに先頭車化されて1370形となり、1350形と同様の2両増結編成になりました。先頭化改造にあたっては、廃車となった1050,1300形のパーツが流用されました。
1350・1370形も主に増結用でしたが、2001年6月改正後は2つ連ねて4連固定・ワンマン編成化が進められました。1350形・1320形の製造期間が神鉄車両の過渡期にあたったため、年式によって内装(水色→木目調)、冷房の有無、方向幕(手動・側面なし→電動・側面あり)、乗務員扉横の「Kマーク」の有無など、差があります。
1371-1372は2015年春をもって現役を退きました。現在では[1373-1374-1375-1376]の固定化された4連が運用に就いています。
1000系列の締めくくりに、1990年に登場したのが1500系。3両編成で、中間付随車は1600番台を名乗ります。姿かたちは1153編成を踏襲し、貫通・冷房・3扉・木目化粧板・電動方向幕・Kマークつきとなっていますが、神鉄車両では初めて、製造当初からワンマン運転用の設備を備えていました。これは1991年に新規開業した公園都市線(当初は横山〜フラワータウン間、後にウッディタウン中央まで延伸)での運転に対応するためでした。
他の1000系列車両と共通の貫通型でありながら、ワンマン車としてのシステム上ほかの車両と混結されることはなく、当初から常に単独の3両編成で運用されています。現在ではすべての車両がワンマン対応となっているため、特に区別されることなく全線で運用されています。
1500系および同時期に登場した2000系は、公園都市線用車両であるとともに、旧式の800系を置き換える存在でもありました。私が高校通学に神鉄を利用していたころにこの車両がデビューし、半分以上の確率で800系が来ていた粟生線末端にあっては、光り輝いて見える存在でした。しかし入れ替わりに、800系が姿を消していくのには寂しさも感じました。そんな思い出のある電車です。