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3.富士・アルプス寝不足道中 |
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1999年12月31日 (新潟→)東京→富士→甲府→塩尻→薮原→米原→神戸 |
3日目の寝覚めは非常に悪く、かろうじて赤羽手前で目が覚める。そこから京浜東北線に乗り換えて、東京へ。時刻はまだ5時そこそこだ。
東京発の静岡行きは、夜行快速「ムーンライトながら」の折り返し列車で、特急車両373系を使った列車。特急車両として考えると微妙だが、普通列車として考えれば、快適な「乗り得」電車だ。
眠りを補おうとするまでもなくすぐまた眠くなり、国府津まで熟睡。国府津からは御殿場線に入る予定だったものの、腰が上がらず、結局そのまま熱海、三島へと進んでゆくうちに夜が明け、日が昇ってきた。天気は良好。
富士の2つ手前、東田子の浦で途中下車。海岸に出て、「田子の浦にうち出てみれば・・」と和歌に詠まれる田子の浦と、青空に映える富士山を眺めてひと息。穏やかな海だが、堤防の外に目をやると、「津波注意」という物騒な看板が目に入る。ここが「東海大地震」という爆弾を抱えた地であることを思い起こさせられる。
富士から、今回初めての乗車となる身延線に入る。車両は導入まもない新型313系。非常に乗り心地の良い電車だが、ワンマン運転が始まったばかりであるためか、駅ごとに切符と整理券をどうの乗降がどうのと、いちいち事細かに説明が入るのにはうんざりさせられる。
富士宮までは、富士山を望む近郊路線。しかしその先から様相が一変し、カーブ・勾配連続のローカル線になり、谷いっぱいに広がる富士川の脇、険しい山のふもとを細々と進んでゆく。
身延は比較的大きな駅で、途中下車して富士川を見渡す。
40分ほどの後に、身延線の旅を再開する。ダイヤ上は身延乗り換えとなっているが、富士から乗ってきた列車がそのまま甲府行きとなったもので、実質は1本の列車だった。
身延を出ると富士川とも離れ、鰍沢口(かじかざわぐち)あたりから甲府盆地が広る。富士山の裏側に回り込んだわけだ。乗客は徐々に増え、身延時点では空席ばかりだった車内も、甲府に着く頃には満員になっていた。
甲府からはいったんJR東日本エリアに入り、中央東線を西進。ここから諏訪へ至る区間の見どころは、何と言っても左手の南アルプスと、右手の八ヶ岳なのだが、しかしこのたびは、山々がかすんでほとんど見えず、残念。
茅野付近では、日陰に雪が残っている。それにしても、疲れがピークにきているらしく、居眠りすること多々。しかも、知らない間に意識を失っている。ああ怖い・・・。
塩尻で中央西線列車に乗り換えて、再びJR東海区間へ入ってゆく。急行型の残党165系の縄張りだった木曽路も、ついに313系化されてしまい、身延線のと同じく2両のこぢんまりした編成となってしまった。ぶどう畑を抜け、木曽の山を走り、薮原駅で途中下車。
かつて木曽路の主要な宿場町として栄えたという薮原だが、大晦日ともあってひっそりしていた。日陰には雪も残って、寒々しい風景。ミレニアムだのY2Kだのという世間の騒ぎが、まったく別世界のことのように思えてくる。
薮原からさらに木曽川に沿って下って行く。そのうちに早くも日が暮れてきた。中津川の1つ手前、無人駅の落合川で途中下車し、線路沿いを流れる木曽川べりで日没を眺める。
中津川からは、この秋に新登場した「セントラルライナー」を利用する。ここまで乗ってきたと同じ「313系」だが、座席などの装備が特急に準じた専用の車両で、多治見より西では整理券料金310円が必要となる。ということで、私は多治見まで乗車して、そこから太多線に入って岐阜へ抜ける予定としていた。ところが・・。
中津川を出てしばらく、気が付けばちょうど多治見を出て、車掌が整理券のチェックをはじめたところ。またしても知らないうちに居眠りをしていたのだった。310円を払わされた上、車掌に「整理券を買って乗って下さい」と苦言を言われる羽目に。恐れていたことがついに起きてしまった・・。
そんな「セントラル・・」を金山で降りる。金山は、東海道本線・名鉄線・中央本線のホームが並ぶ(中間に名鉄駅がはさまっている)大きな駅。そんな駅なのに、店という店は皆早くも店じまいしてしまっていた。大晦日プラスY2Kのせいだろうか。おかげで夕食を調達し損ねてしまった。
金山始発の快速で米原へ。米原からはいつものごとく、新快速で家路を急ぐ。が・・、3日間の強行軍の疲れがいよいよ出てきたか、よりによってこんなところで気分が悪くなってきた。これは初日と同じ症状。となれば、その処置も初日と同じ。風邪薬を飲み込み、カメラのバッグを枕にして、窓側にもたれて寝て過ごした。
そんなぼろぼろの状態で、やっとこさ神戸に到着。と、こちらでもホームのゴミ箱が封鎖されているではないか。まあ、関西でも模倣犯が出るかもしれないから、仕方ないか・・。まさに最後まで、爆発事件のとばっちりを受けた3日間だった。