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2000系は山陽電鉄新性能車両の先駆として、1956年以降に製造されました。この時期は試行錯誤の時代で、2扉ロングシート、2扉セミクロスシート、3扉ロングシートと様々な仕様が混在。車体も当初の鋼製から、60年にステンレス、62年にはアルミ車が登場。この結果を基に1964年に3000系アルミ車両が登場することになります。
オリジナル2000系は冷房化されることなく、5000系への置き換えが進められて1990年までに全廃されました。あまり製造時期の違わない3000系初期車が2017年まで残ったことを考えると短命でしたが、過渡期の車両の宿命であり、その2000系の実績があったからこそ、完成形として3000系列の一大勢力が誕生したともいえます。
一部車両は3550形に改造され、中間付随車として3000系に組み込まれましたが、それらも2003年までに全廃。2000系の機器を流用した3200系が2000系の流れをくむ車両として残存していましたが、2019年に全廃されています。
なお、1962年に一般的な旅客車両として日本で初めてアルミ合金製で制作された2012-2505-2013の3両編成は、今も東二見車両基地で保存されており、イベントで展示されることがあります。私鉄で引退した車両を編成ごと保存しているケースは希だと思われ、山陽電鉄の記念碑的な存在と位置づけられているのでしょう。
また、アルミ車との比較用として同等の仕様で制作された、ステンレス張りの2014-2506-2015の編成がありました。その後山陽電鉄は、3000系以降アルミ合金車両を採用したため、これが同社で最後のステンレス車両となりました。こちらは1989年に引退、しばらく東二見車庫で保存されていたものの両先頭車は解体され、中間車2506だけが物置として利用されていました。しかし2017年初旬に3003(3000系初期アルミ車3002Fの中間車)に交代し撤去されました。
98年2月、「直通特急」の運転開始に伴い、それまで須磨浦公園までの乗り入れだった阪神車両が姫路まで姿を見せるようになりました。そのかわり、阪急車両は新開地止まりになりました。
以下に挙げるのは、「直通特急」として乗り入れることのある車両です。
1984年以降、阪神急行形の標準として量産された車両。オリジナルは赤とクリーム色ツートンの「赤胴車」で、オールロングシートでしたが、順次リニューアルが進められ、その際に中間4両または2両が転換クロスシート化された車両も登場しています。近鉄乗り入れには対応しておらず、専ら阪神本線〜山陽電鉄線の運用に就くため、阪神車の「直通特急」としては最も頻繁に姿を見せます。「赤胴車」の8000系は2015年に姿を消し、長らく阪神の優等列車としてなじみ深かったこのカラーリングは、本線から消滅しました。
8000系はそれまでの阪神車両と異なり額縁スタイルの平顔となりましたが、先行の1編成だけは従来車のイメージを踏襲しており、2000系と同様の先頭形状でした。この編成は阪神大震災で被災し、3両が廃車、残る3両を組み替え、梅田方には新造の先頭車をつけたため、先頭形状が前後で異なる編成となってしまいました。のちにこの編成はリニューアルを受けており、8502車は旧タイプの先頭車として唯一、オレンジ色のカラーリングになっています。
この編成は他の8000系と同等の性能ながら、当初直通特急対応工事がなされませんでした。後に対応したものの、実際に直通特急の運用に入ることはなく、須磨浦公園以東に運用が限定されていましたが、2020年2月から直通特急としても運用されるようになりました。
1995年の阪神・淡路大震災で被災した車両の穴埋めをすべく、急遽増備されたステンレス車両。座席はロングシート。1000系とともに阪神なんば線を介して近鉄乗り入れをすることになり、対応工事が施されると共に、デザインも当初の赤ラインから、1000系に準じるオレンジラインに変更されています。快速急行主体で使用されるようになったため、山陽電鉄区間に入ることは希になりました。
2001年3月改正から導入。「赤胴車」のイメージを一新するオレンジ塗装の車体。直通特急として阪神路線に乗り入れるようになった山陽5000系列に触発される格好で、阪神では数十年ぶりとなるクロスシートが中間4両に採用されました。8000系のリニューアルはこの9300系をベースにした改造となっています。
近鉄乗り入れ対応の1000系に移行したため製造は3編成にとどまり、少数勢力ですが、直通特急にも入ります。
2009年3月の阪神なんば線開業に先駆け、近鉄区間への乗り入れ対応車として2007年に登場。6両編成と、増結用の2両編成があり、その組み合わせで最長10両編成を組みますが、阪神本線・山陽電鉄区間内では6両編成です。全ロングシート。山陽電鉄への乗り入れにも対応しており、機会は少ないものの直通特急の運用に就くことがあります。実際の運用はありませんが、現状この1000系と前述の9000系が、奈良〜姫路間を走り通せる車両ということになります。
「直通特急」以外の阪神特急は、須磨浦公園または東須磨で折り返します(山陽区間内各駅停車)。以下は阪神特急として山陽電鉄線に入線している(いた)車両です。このほか阪神普通車が東須磨まで乗り入れていた時期もありましたが、現在では急行車のみです。
2000系は、1970年以降に製造された7001形・7801形を更新、6両固定化したもの。制御装置や内装も変更され、8000系に近づく思い切った改造となっています。貫通型「赤胴車」の名残をとどめるものの、編成が固定化されたことに伴って、先頭の形状もすっきりしたものとなりました。
阪神大震災で多くが被災、8編成が6編成に減ったものの、阪神本線に残る8000系以前の赤胴車としては、最後まで残りました。ただし直通特急運用には対応せず、須磨浦公園より西に入ることはありませんでした。
1000系増備に伴って廃車が進み、2011年6月末をもって運用離脱、全廃となりました。