登場後あっという間に東北を席巻した701系と
直流版のE127系
登場:[701]1993年 [E127]1995年
在籍:

  記載内容は2015年9月現在。
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 がっかり電車

  701系という電車の存在を知ったとき、都会の通勤電車ばりのオールロングシート電車が、東北の幹線路線を走りまわるというミスマッチぶりにまず驚かされ、正直寂しくなったのを覚えています。

  それまで東北北部の交流区間の幹線(東北・奥羽・羽越線など)は、50系客車の独壇場でした。その50系を置き換えるべく登場したのが、この701系電車。93年にデビューしたが早いか、瞬く間に50系を駆逐し、完全に置き換わってしまいました。

  当時関東より先へ旅行したことのなかった私にとって、東北はいつか足を伸ばしてみたいあこがれの地のひとつでしたが、その気持ちも大いに萎えてしまいました。鈍行旅を楽しみとする当方にとって、車窓に背を向け、立ち客の足を眺めるしかないロングシートでは、風情も何もあったものではありません。東北路線には2-3時間、あるいはそれ以上走りとおすロングラン鈍行が多いだけに、なおさら厳しい。

  聞けばこの電車、JR東日本が首都圏の通勤電車との共通化をはかった低コスト車両とのこと。外見の素っ気なさも105系のステンレス版という感じで、どうしても存在の軽い「使い捨て」の印象を受けてしまいます。もちろん営業サイドの側に立てば、新しい電車に更新していったほうがエネルギー効率が悪い旧式車を引っ張るより長期的には省エネ・省コストだし、どうやっても採算の厳しい地方路線をできるだけ合理化したいというのは無理からぬこと。そもそも電車は旅情のためにあるわけではないので、こちらとしては甘んじるほかないのですが。

青森県内の奥羽本線をゆく701系 

  私が初めて東北の地を踏んだのは、98年秋の旅行のときで、701系初乗車もそのときでした。明るいけれど無味乾燥な電車だなとの印象でした。

  次に乗ったのは99年末。新庄から村山まで延伸直後の山形新幹線に乗ったあと、村山〜山形間で乗車しました。(奥羽線[山形新幹線]・田沢湖線[秋田新幹線]の鈍行用には、標準軌、つまり新幹線と同じ線路幅の701系が使われる。)東京の新幹線ホームに乗り入れる電車と、2両のワンマン鈍行が同じ線路の上を走るのには、不思議な感覚を覚えたものです。

奥羽本線(福島〜新庄)で走る標準軌用の701系 

 短編成の弊害

  デッキつきクロスシートの50系客車からロングシートの701系になって大きく変わったのは、乗降がスムーズになることと、1両あたりの定員が増えることです。前者は特に都市近郊ではメリットになりますが、寒冷地を走る列車としては保温のためのデッキは欲しいところ。701系にはドア開閉ボタンが付き、この点をカバーしています。

  営業側の特に意図する利点はやはり後者でしょう。定員を増やす目的は、車両を減らしつつ数字上の輸送力をキープするということです。しかしそれはとりもなおさず立ち客をふやすということ。701系は2-4両の編成単位で、ローカル区間では2両編成のワンマン運転を基本とするため、列車によって混雑に拍車をかけることになってしまったようです。

  例えば2001年1月3日、秋田から新庄まで2時間以上乗車した快速「こまくさ」。2両編成で、秋田出発時点から客は多く、立ち客が目立つ状態。客は停車駅ごとに増えつづけ、新庄到着時点では立錐の余地も無い大混雑になっていました。新庄で降りた大勢の客の大半は、山形新幹線のほうへ乗り換えてゆきました。つまり、帰省Uターンラッシュによる混雑だったのです。

雪にまみれた快速「こまくさ」 

  「こまくさ」は山形新幹線が山形どまりだったとき、新幹線と接続して山形以北(新庄、秋田方面)へアクセスする特急の名称でした。山形新幹線の新庄延伸に伴い新庄以北を快速として残したのがこの列車。なのでこの時期の混雑は当然予想されたでしょう。それでも頑なに2両編成で走らせたというあたりに、701系に示されるJR東日本の地方路線への取り組み姿勢を垣間見た気がしました。

  なお、田沢湖線用を除いてすべてがロングシートというのがさすがに不評だったのか、東北の701系も一部クロスシート化された車両があります。皮肉にもこのときの「こまくさ」がそれ。普段なら歓迎されるべきところが、このときばかりは混雑を助長するばかりになってしまいました。

  と、かなり酷評してしまいましたが、701系の名誉のために言っておくと、さすがに新しい技術をもって造られているだけに走りの性能は相応で、きびきびした加減速をみせてくれます。今やこの顔を見ると東北に来たなと思える存在です。

仙台近郊でも広く活躍 

  なお、東北新幹線新青森開通に伴って東北本線から転換された第三セクター2社には、JR東日本から譲渡されたものを含め701系タイプの車両が在籍し、IGRいわて銀河鉄道のものは「IGR7000系」、青い森鉄道のは「青い森701系」を名乗ります。

 親類は直流用

  701系の直流バージョンといえるのが、1995年登場のE127系。新潟エリアや長野エリアに居残っていた165系列を置き換えるべく増備されました。基本は2両編成のワンマン運転。新潟エリアに投入されたものは701系と比べて前面にやや膨らみがあり、オールロングシートで緑の帯をまといます。

新潟地区のE127系 

  2015年の北陸新幹線金沢開業に際し、新潟のE127系は第三セクター「えちごトキめき鉄道」に大半が譲渡され、ET127系として「妙高はねうまライン」(妙高高原〜直江津間:旧信越本線区間)で運用されています。なお「日本海ひすいライン」(市振〜直江津間:旧北陸本線区間)にはデッドセクションがあるためこの電車は入らず、ET122形気動車(JR西日本キハ122形と同タイプ)が運行されています。

  大糸線など松本近郊に投入された車両は、701系同様の平面的な前面となり、長野エリアのシンボルカラーであるスカイブルーの帯をまといます。こちらは北アルプスの眺望を考慮し、ロングシートとクロスシートが交互に配置された変則的な座席となっています。車いすにも対応した広いトイレが設置されています。

長野地区のE127系 

 

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