荷物車を改造した単行用電車
中央本線旧線や小野田線などのワンマン運転用に使用されてきた
登場:1986年
在籍:

  記載内容は2013年3月現在。
  写真はクリックで拡大表示します。ブラウザーの<戻る>でお戻りください。

 変わり種の正体

  見るからに個性的なこの電車、その最大の特徴は、「両運転台の電車」、つまり1両単位で走れる電車だということです。

  電車は通常、複数車両でユニットを組み、編成としてシステムをつくります。特に国鉄時代、電車は都会を走るものであり、ゆえに編成は長いのがあたりまえだったので、そのほうが合理的だったのです。

  例外は、小荷物や郵便物を運ぶ「荷物車」で、これらは単独で、または他の編成にくっついて走るため、1両単位で走れるシステムを持つ必要がありました。(下の写真は、写りが悪いですが、私が所有する唯一の荷物電車の写真です。)

86年ごろ、2両編成で走る、末期の荷物電車 

  しかし鉄道による荷物輸送は衰退し、国鉄末期にはほぼ全廃となりました。その同時期、地方路線における短編成車両の需要が増し、そこで白羽の矢が立ったのが、余剰になった荷物電車でした。

  旅客用に改造された荷物電車は、クモハ123を名乗り、JR西日本の宇部線・小野田線で走っています。JR東海、東日本にも在籍しましたが、こちらは全廃されています。特に合理化の必要な路線を走っているだけに、すべてワンマン運転対応。種となった車両の違いから、それぞれの相違点が多いのも特徴で、国鉄時代車両のカテゴリー分けの中では、異彩を放つ存在です。

山口の小野田線にて。角ばった食パンスタイル 

  小野田線で一度乗車しました。もと荷物を運んでいた車両だけに、構造はいたってそっけないものです。車内には端から端までロングシートが続き、中はがらんとしています。窓幅が異様に広いのも大雑把な感じ。小野田線ではゆったり走行に終始していました。

広島エリアでは濃黄色への変更が進む 

  東日本エリアには、クモハ123-1、1両だけが在籍。中央本線旧線の辰野〜塩尻間ピストン輸送に徹していました。この区間には峠越えが含まれますが、電車はパワフルに走り、もと幹線の線路の良さも手伝って、なかなかの力走を見せてくれました。小野田線の車両とは異なり、側窓は細長いのがずらりと並ぶ。

中央本線辰野〜塩尻間で運転されたクモハ123-1 

「ミニエコー」という小さなマークに愛嬌が 

  東日本のクモハ123は、2013年3月改正をもって運用を終了しました。

 

 トップ > 車両所感 > 123形