フラワ1985形は北条鉄道が運転を開始した昭和60年4月1日より走行している富士重工製のレールバスで、微妙に塗装の違う3両が在籍していましたが、1985−2・3の各車はフラワ2000形の導入により廃車にされてしまいました。2号車は和歌山県の紀州鉄道で“キテツ1形”として第2の人生を歩んでいます。3号車は入札により市民に引き渡されました。なお、北条町駅にて2号車の車輪を展示しています。
1985-1はその後も残りましたが、新型のフラワ2000型よりも小型であることから、予備車的な扱いで付近の高校が休みになる土曜日を中心に運転されていました。塗装は白地に赤と青系のストライプで1号車は黄緑、2号車は紺、3号車は緑色です。
なおこの塗装は、北条鉄道の「北」がデザインされています。側窓はパノラマッサッシになっています。ちなみにこの車両と同時期に製造された三木鉄道のミキ180は、通常のバス窓となっています。また、ドアはバスタイプの折戸となっています。
運転台を見てみると、ブレーキ弁など鉄道車両のものですが、速度計などにどことなくバスの雰囲気が漂っています。車内には整理券発行機や運賃箱といった路線バスに搭載されているようなワンマン設備が装備されています。
車両はバスの部品を多用(バスの寿命は普通15年程度)しているため、製造後20年を経過しているこの車両は、他の鉄道でも運用数は減ってきています。北条鉄道と同じ時期に国鉄の路線が第3セクター化され、三木鉄道や樽見鉄道などにこれと“LE−Car”と呼ばれる同系統の車両が導入されました。しかしこれらの車両は老朽化のため置き換わっていき、現在は廃車となっています。
このように各社共に世代交代が進んでいて、現在このタイプの車両を所有している会社はほとんどありません。
* 2008年には、北条町駅にできたバイオ燃料施設で生成した燃料(BDF)の走行試験用に使用されました。その後、三木鉄道ミキ300-104(→フラワ2000-3)購入に伴い、イベント用限定となる計画でしたが、2009年1月に深刻な故障を起こし、修理に見合わないと判断された模様で、残念ながら引退することになりました。元フラワ1985-2(→キテツ1)が活躍する紀州鉄道に引き取られることになり、3月31日に搬出されました。紀州鉄道では「キテツ2」となって、旧式の「キテツ603」を置き換え、キテツ1と併用されるようです。