路線紹介

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 1.粟生(あお)

  JR加古川線、神戸電鉄粟生線、そして北条鉄道の3社が接続する要衝。三者が相互接続できるようなダイヤとなっており(日中だと、毎時05〜10分ごろに、全方向の列車が発着する)、列車の発着時には賑わい、古びた狭い跨線橋は混雑します。駅そのものは大きくなく、路地裏の目立たない存在ですが、陶芸体験施設が造られるなど、駅前再開発が進行中。

  図の通り、ホームの番号は変則的な並びとなっており、北条鉄道は駅舎から最も離れた3番線から発着します。国鉄時代には加古川方で線路がつながり、加古川線への乗り入れが行われていましたが、転換後は切り離されてしまいました。従って、北条鉄道の粟生駅は行き止まりの棒線駅で、列車がそのまま折り返すことしかできない構造です。(旧三木鉄道厄神駅と異なり、JR側の線路は完全に撤去されています。)

  3番線は、加古川線下り列車が発着する1番線とホームを共有していますが、加古川線電化の際にホームをかさ上げした関係で、1番線と3番線の間に段差が生じており、間に柵が設けられています。なお、3番線の西側には、更に線路があったと思しきスペースがあり、そこに北条鉄道の0kmポストが立っています。

08.4.15  

  粟生を出ると、線路はすぐに加古川線から離れ、左側へと大きくカーブしてゆきます。田んぼの中を進み、その後県道81号[小野香寺線]と交差。狭い県道ですが、法華口あたりまではおよそこの道が北条鉄道に沿っています。万願寺川に沿って進み、小野市から加西市に移って、粟生から3.5kmで網引へ。

02.6.10 
08.2.9 
08.4.15 

 2.網引(あびき)

  北条鉄道は概して田園地帯を進んでおり、駅前にもこれといって何もないところが多い。加西市最初の駅となる網引も、ひさしのみの待合所があるだけの簡素な駅。ただし、法華口、長とともに、北条線全通(大正4年)時からある駅の1つです。その脇には、ポンプ式の古井戸と、古めかしいくみ取り式トイレがあります。また、駅入口にはコカコーラの赤い自販機が鎮座していますが、これは北条鉄道の途中駅すべてに見られるもので、妙な存在感を醸しています。

  駅前広場には巨大な銀杏の木があって、偉容を誇っています。

  駅脇には、「列車転覆事故殉難の地」という看板があります。昭和20年(1945年)3月、網引駅の西300m地点で試験飛行中の戦闘機がエンジン故障により不時着、おり悪く、ずれた線路に列車がさしかかって転覆し、死者12人(乗客11人と戦闘機操縦士)を出す惨事となったといいます。太平洋戦争末期のほころびが、このような田園にも悲劇をもたらしたのです。

08.4.9   

  網引からその1.1km先の田原まで、線路は見通しの良い田んぼの中を、ほぼまっすぐに進みます。転覆事故の現場を過ぎゆきつつ、ゆるやかに勾配を登り、万願寺川を渡って下りに転じます。

08.4.15 

 3.田原(たはら)

  網引駅から続いてきた直線が右へ折れるあたりに位置する田原駅。網引と同様、駅舎といえるものはなく、ホームにひさし状のものがあるだけの駅です。ただし出入り口部分には木のゲートが設けられ、花壇も設けられるなど、有志がよく手入れをしているという風です。また駅裏には桜などの大木が植わり、「鎮守の森」のような雰囲気もあります。

  田原駅は当初、現在より網引側にあったそうで、終戦までに一度廃止され、現在の田原駅は1952年に開業したものです。

08.4.9   

  田原からは向きを北西に転じ、緩い登り勾配にさしかかって、竹藪の間を抜け、1.5kmで法華口駅へ。ちなみに法華口駅の手前で、2つの踏切が続きますが、1つ目は東西に走る国道372号、2つ目は南北に走る県道716号[玉野倉谷線]で、この両者は線路のすぐ南で交差しています。つまり、十字路の間近を線路が斜めに切る格好となっています。→こんな感じ

08.4.9 

 4.法華口(ほっけぐち)

  1915年(大正4年)、北条線の全通と同時に生まれた駅。国道372号から路地を入ったところにあり、駅前は比較的広い。西国三十三箇所第26番 法華山一乗寺なる寺への最寄り駅というのが駅名の由来だそうですが、5kmほど距離があり、今となっては現実的なアクセスルートとはみなされていません。戦中には、駅北に位置し、特攻隊員の訓練場ともなった鶉野(うずらの)飛行場の最寄り駅としても盛んに利用されたといいます。

  その歴史を見続けてきた古めかしい木造駅舎は老朽化が激しく、表側には「つっかえ棒」がしてあり、無人化されて久しいその駅の待合室は、自転車置き場と化しています。

  もと交換可能駅だったようで、現ホームの向かいにホーム跡があり、桜の木などが植わっているほか花壇も設けられ、手入れがなされている様子です。駅前にも立派な桜の木があります。紺色の板に手書きで白く記された駅名標、もともと右から左へ書かれていたのを上から書き直したのだそうで、「ちぐけっほ」という文字の跡がうっすらと残っています。なお、「たはら」の部分は元々「きびあ」だった(当時、田原駅がなかったため)ようです。

07.6.25 
08.4.9   

  2004年の台風で屋根が破損し、その後長らくビニールシートがかぶせられた姿のままでしたが、2008年4月になってようやく修理されました。この法華口をはじめ、加西市では「ボランティア駅長」という制度によって、有志による駅の維持管理を推進していますが、この工事に関しても、瓦は中古品を使い、職員やボランティアが携わるなど、北条鉄道らしい手作り感覚での作業となったようです。隣の便所の建物を含め、若返った印象です。

08.4.27  

  2020年6月に列車行き違い設備が設置され、これに伴い9月から列車の増発が行われています。従来の駅舎とホームの北条町側に新たに対向式のホームが設けられ、粟生方面行きのホームへは踏切を渡る必要があります。駅舎と旧ホーム、そしてかつての対向ホームはそのまま残されています。

 
2020.9.14

  これより先、万願寺川から分かれた下里川のなす、小山に囲まれた平地を進んで行きます。田んぼの中を引き続き北西へ進み、1.9kmで播磨下里へ。

07.6.25 

 5.播磨下里(はりましもさと)

  法華口、播磨下里、そして次の長(おさ)の3駅には、古い木造駅舎が残ります。このタイプの駅舎は加古川線や三木鉄道にも結構残っていましたが、加古川線のはその多くが電化に際して建て替えられ、西脇市以北に幾つか残るばかり。しかも、窓や窓口部分が板でふさがれ、事実上ただの物置小屋のようになってしまっている場合が少なくありません。一方、北条鉄道に残る木造駅舎、特にこの下里駅については、無人とはいえ、かなり原型をとどめているのが特徴です。

  法華口と同様、ここにも手書きの駅名標が健在。「とさもしまりは」という文字の跡も認められます。待合室内には作りつけの木の長椅子があり、小さいながらも風情のある駅です。それだけにコカコーラに違和感が・・

  4枚目の写真は屋外便所。北条鉄道の駅のトイレは大半がこのスタイルで、駅舎と別にくみ取り式便所の小屋があるという構造です。今時なかなかお目にかかれるものではなく、新調されている自転車置き場と好対照をなしています。

08.4.9    

  すぐに県道43号[高砂北条線]を横切り、さらにしばらくまっすぐに進みます。若干北側へ折れ、長(おさ)駅へ。播磨下里から1.8km

05.11.21 

 6.長(おさ)

  長石という石を積み出していたことが駅名の由来だとのことで、大正4年の開業以来の駅。ここにも古風な駅舎と紺色の駅名標が残ります。駅周辺には比較的住居が密集しています。

  対向ホーム跡が残りますが、桜などの木が植えられてすっかり馴染んでおり、廃止されて久しい感じです。

05.5.3 
08.4.9  

  列車は右へカーブし、北西から北、北東へと向きを転じて行きます。1.6kmで播磨横田。行く先に、加西の中心・北条町の町並みが見えてきます。

05.5.3 
07.6.16 
08.4.15 

 7.播磨横田(はりまよこた)

  開業は昭和36年、北条線の中では最も新しい駅で、そのぶんだけ他の駅と比べると、どことなくあかぬけた雰囲気があります。ホームには桜の木があり、花の時期には美しい。

  駅そのものは、ひさしがあるだけの簡素な造りですが、ホームを出たところにあるトイレは新しい。そしてコカコーラはここでも存在感。

08.4.9   
08.4.15 

  終点、北条町までは2.2km。田んぼの中を進み、加西市街へ。最後は右へカーブし、県道23号[三木宍粟線]を横切って下里川を渡り、北条町駅へ入って行きます。

05.11.21 

 8.北条町(ほうじょうまち)

  粟生から13.6km。北条鉄道の終点であり、唯一の有人駅。ただし、運賃はワンマン列車内での収受なので、駅での改札は行われません。

  粟生側から見ると、左に検車庫への線、右に側線が分かれており、ホームは1線のみ。発足当初から、北条町駅構内での移動以外には、全線にわたって列車の入れ替えができない構造となっていましたが、現在では法華口駅での列車行き違いが可能となっています。

  2001年に、市街地の再開発などに合わせて駅舎も新調、駅は南側に移動し、北条鉄道の距離は0.1km短くなりました。その北側には、複合商業施設「アスティアかさい」が造られました。北条町駅は陸橋を介してそこに直結する構造となっています。また、駅前にはバスターミナルも設けられ、大阪方面への高速バスや姫路方面への路線バスなどが発着します。

  駅前には、フラワ1985-2(→紀州鉄道キテツ1)に使われていたという車輪が置かれています。

08.2.18   
09.2.23  

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